参政党が直面した“批判”とその向き合い方
新たな政治勢力が注目を集めるほど、批判や反発も強くなるものです。参政党もその例外ではありません。
街頭では支持者が集い、SNSで動画が拡散される一方、インターネット上では「陰謀論的」「科学的根拠に乏しい」「極端なナショナリズム」といった否定的なレッテルが貼られてきました。
初期のマスメディア報道も冷ややかで、一部では“危険視”する論調さえ見られました。
このような空気は2023年以降、とくにネット上の有識者や一部評論家を中心に強まっていきました。「エビデンスはあるのか?」「煽動的ではないか?」といった問いは時に正当な指摘であり、また時に党の理念そのものを歪めて伝える過剰反応となって現れました。
批判への対応――「反論」ではなく「説明」の姿勢
参政党の特徴は、こうした批判に対して感情的な応酬ではなく、事実と丁寧な説明で向き合ってきた点にあります。
たとえば、食と健康政策に対して「非科学的だ」と批判が出た際には、党公式チャンネルや街頭演説を通じ、医師や専門家の見解を紹介。「健康は国民の自己防衛力である」というスタンスを論理的に解説しました。
また、「外国人排斥ではないのか」との疑念には、「日本人ファースト」は国民としての誇りを取り戻すためのスローガンであり、他者排除の思想ではない――と、繰り返し公式見解を発信。誤解を恐れず言葉にする姿勢を崩しませんでした。
この丁寧な説明は、当初は批判的だった層の中にも「思っていたイメージと違った」「意外に真剣に国を考えている」と印象を改める人が現れるきっかけにもなりました。
「日本人ファースト」は排他主義か?――誤解とその構造
「日本人ファースト」は、2025年参院選で参政党のキャッチコピーにもなったフレーズ。政策や演説で頻繁に使われ、多くの国民から支持を集めた一方で、最も誤解されやすい言葉でもありました。
「差別的だ」「外国人排斥だ」というレッテル
特に一部の識者やメディアでは、この言葉が「外国人排斥」「多文化否定」といった極端なナショナリズムや排他主義と結びつけて語られた。「トランプ前大統領の“アメリカ・ファースト”に通じる排他的思想だ」とする論調も散見され、ネット上では「外国人を敵視する政党」「極右政党」というイメージが形成される一因ともなりました。
加えて、SNSでは「移民排除を正当化する主張だ」「日本国籍でない人間の権利を軽視している」といった投稿が拡散され、党の理念や実際の政策からかけ離れた印象だけが一人歩きしてしまいました。
外国人政策の本質――“自立と調和”に向けた制度設計
参政党の外国人政策は、「日本人ファースト」というスローガンの根幹をなすテーマ。
その本質は、排外主義ではなく「国民の生命・財産・生活を守る」という国家の基本的責任を重視するものです。国際化を否定するのではなく、自国民の秩序と安全を前提に、多文化共生のあり方を模索する姿勢にあります。
この方針に基づき、参政党は理念法の制定と制度改革をセットにした体系的なアプローチを打ち出しています。その中心となるのが「外国人総合政策庁」の新設構想です。
1.外国人総合政策庁の設置:司令塔の確立
現状、日本には外国人受け入れに関する“国益ベースの理念法”がありません。厚労省・法務省・文科省などが個別に管轄しており、全体最適の視点が欠けています。
参政党は「外国人総合政策庁」設立を提案し、市区町村単位で日本国民人口の5%までという“受け入れ上限”を明確化。日本の文化的統合や地域社会の維持を前提にした流入管理の司令塔設置を目指しています。
2.労働政策:質の担保と公平性の確保
技能実習や育成就労制度についても抜本的な見直しを提案。
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日本語能力(N2〜N1)を条件とする
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高度技能人材の受け入れを優先、非熟練労働者は数を制限
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永住・家族帯同の条件を厳格化
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報酬の不正・低賃金労働の防止策
日本人の雇用と同時に、外国人労働者の権利も守る仕組みを目指しています。
3.社会保障:持続可能性と公平性のバランス
社会保障制度の濫用を防ぐため、
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外国人の生活保護受給停止
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医療制度の長期利用者への永住制限
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留学生支援の国籍条項や能力・人物評価の導入
などの施策で、「日本に貢献する意思と能力を持つ人」を優先する考え方です。
4.法的地位・参政権:国籍と忠誠の原則
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帰化要件の厳格化(日本語力・犯罪歴・忠誠心など)
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永住権の要件見直し
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公務員・司法分野での外国人採用制限
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外国人参政権の明確な否定
国家の意思決定に関わる人材には、国民の価値観や安全保障への理解が必要という立場です。
5.経済安全保障と資産保護
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外国人による土地売買の原則禁止
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観光客流入の上限設定と観光税導入
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インフラ・企業の外国資本による取得監視強化
地域社会と経済主権を守るための安全保障政策です。
6.治安対策とスクリーニングの強化
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不法滞在・不法就労の取り締まり
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セキュリティスクリーニングの導入
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国外免許制度の見直し
「移民管理=治安対策」という現実的な視点を重視しています。
7.文化的摩擦の予防と地域調和
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日本語・文化理解を滞在条件に
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コミュニティのルール遵守や罰則の明文化
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地域伝統への敬意・外国文化の“押しつけ”禁止
“文化的自立と相互尊重”を基本理念に掲げています。
「排他」ではなく“国益に基づく統合”を目指して
参政党の外国人政策は、「排外主義」「極右的」と批判されることがありますが、その実態は「国家の持続可能性」や「社会的公正」を目指すものです。
特に地方では、外国人労働者の流入に伴い住民の不安も強まる中、そうした声に丁寧に応える姿勢が、参政党への支持につながっています。
「差別という言葉に萎縮しない」――本音を語る政党として
参政党が注目を集めた理由のひとつは、「差別と区別」についても臆せず言語化し、議論のテーブルに乗せた点にあります。
多くの政党・政治家は「差別的だ」との批判を恐れてこうした議論を避けがちですが、参政党は「日本人としての権利や尊厳を守ることは差別ではない」と明確に発信。本音で語ってくれる政党として多くの共感を集めました。
「日本人ファースト」は“自己再認識”のスローガン
「日本人ファースト」は、誰かを排除するためではなく、「グローバル化のなかで日本という共同体に属する意味を再認識する」ための言葉です。
国民の生活や文化、未来を考える上で不可欠な問いを投げかけるスローガンでした。
誤解や批判を恐れずこの言葉を掲げたことに、参政党の「語る覚悟」があったともいえるでしょう。
外部批判が結束のエネルギーに――広がる支持と情報拡散
興味深いのは、こうした批判や攻撃が、逆に党内の結束を強め、能動的な情報発信を促している点です。「攻撃されているのは本質を突いている証拠」と受け止める支持者も多く、SNS上でも「まずは自分で演説を見てほしい」といった自主的な発信や拡散が目立つようになりました。
結果として、参政党の実像が“初めて知る”層にも届きやすくなっています。
現代的な情報拡散の流れを逆手に取った現象と言えるでしょう。
対立よりも、共感と参加の空間へ
もちろん、すべての批判が悪意に基づくものではありません。参政党の課題は「誤解されたままの批判」ではなく、「正しい情報が届いていない人々との対話」です。
2025年までに取ってきた“対話重視”の姿勢は、今後の信頼構築において極めて重要な基盤になるはずです。
相手を攻撃せず、恐れず、堂々と考えを語る。その姿勢こそが、参政党が批判をチャンスに変え、政治の成熟につなげている理由なのです。